なるほどペリオ講座を受講しました
2017-07-28
7月9日(日)福岡の電気みらいホールで行われた
ウエルテック(株)主催のセミナーを院長、副院長、
田中(DH)、大川(DH)、藤田(DH)、中村(DH)が受講しました。
なるほどペリオ講座
~Prof.天野とDr.ヒロのぺリオワールド~
講師は 大阪大学歯学部予防歯科学分野教授 天野敦雄先生
大阪府豊中市 山本歯科院長 山本浩正先生
第一部 天野敦雄先生
「今こそペリオドントロジーに目を向けよう!」
【かかりつけ歯科医がささえる健康生活(1.3万人の追跡調査をした結果)】
*かかりつけ歯科医を持つ人は寿命が長く、要介護にもなりにくい
*いい歯科医、歯科衛生士と出会えるかどうかが寿命を決定する
かかりつけ内科医では寿命は延びない!
【21世紀の歯科】
「削る・詰める・抜く」➡ 取り戻す・再生医療
➡ 防ぎ守る・予防医療 へと移行してきています。
その中で歯を守る国民の意識が日本は低い!
【歯周病について】
日本成人の77%が罹っており、38%が歯周治療が必要で
10%が深刻な歯周病に罹患している。
【歯周病の原因の流れ】
1930年頃には歯石と言われていたものが
1960年頃にはプラークの量、
1975年頃には歯周病原生菌と言われ、
1990年頃には歯周組織の抵抗力(遺伝・全身疾患などの影響)
2000年頃には共生関係の破たん(歯周病菌と人間の共生)
と変わってきている。
【最強の歯周病菌】 Porphyromonas ginngivalis(Pg菌)
日本人成人の65%に感染していて18歳以降に感染することがわかってきている。
Pg菌が低病原性バイオフィルムの中で増殖して高病原化。
*バイオフィルムとは細菌の塊で膜で覆われているものです。
例えるなら排水溝のぬめりのようなものです。
【歯周病の原因】 「歯垢VS歯周組織」の均衡崩壊
歯周組織(歯の周りの組織)と歯垢のバランスが均衡だと健康
歯周組織が弱くなり病原性の高くなった歯垢(プラーク)で均衡崩壊が起こることで歯周病が
発病する
【歯周病の進行】 バイオフィルムの高病原化で歯周組織に炎症が起こり
歯周ポケット(歯と歯茎の溝)内面に潰瘍面(赤くジュクジュクした歯茎の状態)が
出血することでへミン鉄(歯周病菌の必要栄養素)が出てきて
歯周病菌がケタ外れに増殖することで歯周病が進行
【歯周病発生】 20歳前後で口腔内にPg菌が定着しても日和見感染として症状は現れず不顕性感染
加齢や口腔清掃不良・全身疾患などが加わり
歯肉出血が起こり、高病原性バイオフィルムが形成されて歯周病発生
【歯周病の治療】 常在菌バイオフィルム ⇔ 高病原性バイオフィルム
(歯周組織優位で健康) 可逆的 (バイオフィルム優位歯周病)
出血を止めて潰瘍面を閉鎖すること
歯周組織治療(ポケット検査・歯石とり・歯面清掃)によって
ポケット内の細菌量が減少し潰瘍面は閉鎖される
【歯周治療成功の目安】 潰瘍面の閉鎖→出血停止→BOP(ポケット検査時の出血の有無)マイナス
歯周病菌が飢餓(鉄欠乏)に陥りプラーク細菌叢が健康状態に戻り
歯周状態も元に戻る
リコール(定期健診)で細菌叢の変化を防ぐ
【現代の科学では】 残念ながら歯周病菌は駆逐できない
バイオフィルム内と細胞・組織内で生き続ける
➡歯周病に完治はない
健口から健康へ
第二部 山本浩正先生
「ペリオ攻略!システム構築の ❝こころ❞」
【リコール(定期健診)】 動的治療後10年における歯の喪失について
メインテナンスの最大のリスクは ‷中断‴
たまにしか来ないは歯を失うリスクが高い!
【Negative approach と Positive approach】 例えると前者は参加しないと馬鹿になる
後者は参加すると賢くなる
【BOPの取説】 BOPが意味する3つの存在
*炎症の存在
*歯周病菌の存在
*付着の喪失リスクの存在
BOP率がリコール間隔(BOP30%以上、未満)を決める
BOP率15~20%が最も歯肉退縮が進行しにくい
【 ❝辛くない❞ 超音波スケーリングを目指して】 スプラソン 水道水
ピエゾン お湯・薬液
術前の声掛け 痛みの出やすい場所をあらかじめ話す
術中の声掛け 患者さんの都合で声をかける
痛みだけではなく開口時注水時など
術後の声掛け 痛みがなかったかたずねる
痛みが出ていれば場所と刺激を記録する
気づけていない自分を反省する
【 ❝気持ちいい❞ PMTCを目指して】
❝上手い❞ と感じるPMTC(歯面の清掃)
*痛くない
*痛んだとしてもすぐに気づいて修正する
*動きに迷いや無駄がない
*清掃機械の存在感が消えるくらい自然
~今回のセミナーを受講したメンバーのコメント~
*先生が菌の感染経路の例で挙げられていた大阪での串カツソースの2度つけ禁止は理に適っている。
*痛くない・気持ちのいいPMTC(歯面清掃)声掛けをして気づいてあげたい。
*上手なDH(衛生士)下手のDH自分が行うPMTCでは清掃器具の感覚が無くなるようにしたい。
声掛けを自分のタイミングではなく患者さんのタイミングで
*患者さんとのコミュニケーション、気づいてあげて足らなかったところは自分で反省したい。
*昔はTBIと言っていた歯磨き指導はOHIになっとるとよ。
*ネガティブアプローチには気を付けたい。ポジティブアプローチほめるこの間との比較「痛いでしょ」
「大丈夫ですか?」どこが痛いのかDHレコードに記録
*スケーリング(歯石とり)のチップの種類・当て方の大切さ